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最高裁判所第一小法廷 昭和57年(あ)542号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人居林與三次、同池谷昇、同大塚一男、同西嶋勝彦の上告趣意第一は、憲法一四条一項、三一条、三七条違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反の主張であり、同第二のうち、判例違反をいう点は、所論引用の判例は事案を異にし本件に適切でなく、その余は、憲法三一条違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反の主張であり、同第三は、憲法三一条違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反の主張であり、同第四は、憲法三一条違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であり、同第五は、憲法三一条違反をいう点を含め、実質は再審事由、事実誤認、単なる法令違反の主張であり、同第六は、憲法三一条違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反の主張であり、同第七のうち、憲法三一条、三八条三項違反をいう点は、第一審判決及び原判決が起訴されていない余罪を認定してこれをも処罰する趣旨で量刑したとは認められないから、所論は前提を欠き、判例違反をいう点は、所論引用の判例は事案を異にし本件に適切でなく、その余は単なる法令違反の主張にすぎず、また、被告人本人の上告趣意は、事実誤認の主張であって、いずれも刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。

なお、原判決及びその是認する第一審判決の認定したところによると、被告人は、ほか一名と共謀のうえ、埼玉県行田市発注の電気工事の請負にかかる指名競争入札に関し、自己の経営する会社においてこれを落札するため、他の指名業者に対し自社を落札者とすることの談合を持ちかけ、これに応じなかった会社の代表取締役に対し、右談合に応じなければその身体等に危害を加えかねない気勢を示して脅迫しこれに応ずるように要求したというのであり、かかる被告人らの談合要求行為が前記入札の公正を害するおそれのあるものであることは明らかであるから、これをもって刑法九六条ノ三第一項にいう「入札ノ公正ヲ害スヘキ行為」にあたるとして被告人につき威力入札妨害罪の成立を認めた原判決の判断は、正当である。

よって、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 団藤重光 裁判官 藤崎萬里 裁判官 中村治朗 裁判官 谷口正孝 裁判官 和田誠一)

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